■エラフスホソアカクワガタ
Cyclommatus elaphus

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産地:インドネシア スマトラ Mt.デンポ
累代:WILD
状態:成虫ペア♂88mm(4.2g)♀32.5mm(1.1g)

レコードサイズ:
野外109mm
飼育97.5mm
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■2016年7月10日 成虫入手

KUWATA横浜にてランバージャックさんのブースにて購入。
失念しましたけどイベント価格で4,000円位だったかな??

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♂88mm。
THEクワガタ世界代表的なかっこよさ。
このクワガタの魅力や逸話について語ると何時間必要なのやら。
ちょっと面白いなと思ったものをちょっとだけ脱線してご紹介。

■大図鑑誕生のきっかけの虫

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ご存知、日本が誇る大図鑑の表紙にもなってます。

というのも、この大図鑑誕生のきっかけもエラフスホソアカ。
むし社社長の藤田氏が外国産クワガタにハマる原因であり、
「そういえば網羅的なクワガタ図鑑ってないよね→大図鑑誕生」的な経緯なんですが、
細かい話は氏の自叙伝の解体虫書を読んでくださいということで一節だけ引用。

エラフスホソアカは、私を虜にし、さんざん振り回し、膨大な仕事をさせ、
人生で最高の達成感も味合わせてくれた、憎たらしくも有難い、忘れえぬクワガタムシである。

『藤田 宏の解体虫書』(むし社:2013年)より

氏は大図鑑の中でもエラフスを指して「魔性のクワガタムシ」と表現してます。

■THEクワガタ世界代表

昔々、吉田賢治氏のムック本を見ると
ある本では世界で最も美しいクワガタはニジイロクワガタ、
ある本ではエラフスホソアカと書いてあって、
不思議に思ったもんです。

共に美しい光沢と色彩変異を持った両種ですが、
(エラフスホソアカもパープル系〜グリーン系、トルンカートゥスについては更に銅色〜赤色系もいます)

エラフスの特筆すべきはそのサイズ。
野外レコード109mm。

ただ100オーバーがコンスタントに入ってくる訳ではなく、
100mmを超える個体で超特大です。
機会があってWILD品を何年か見てましたけど、
綺麗な完品の100mmUPって本当にレアなんですよね。
所有者の小森氏曰く、No.2は104.5mmとのことですので109mmは本当にお化けサイズです。
『BE-KUWA5号』(むし社:2002年)より

値段もビックで、
1980年代に日本に入ってきた時のお値段、
1986年のオークションで90mm台後半の個体に50数万円がついたそうな。
『世界のクワガタムシ大図鑑』(むし社:2010年)より


ニジイロクワガタを見てカナブンかな?タマムシかな?と思う人はいても、
エラフスホソアカを見て外国産と思わない人はいないだろうエキゾチック感。

ちなみに『世界のクワガタG』(エルアイエス:2000年)で用いられた和名は、
「オウサマホソアカクワガタ」
まさにTHEクワガタ世界代表なのでございます。

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脱線しましたが、
長く伸びた大顎。最高です。

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大顎基部と腿節のオレンジ紋も最高ですし、

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大型個体の顎基部突起も最高です。

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♀32.5mm。

エラフスのメス(黒メス)、
多種のキクロに比べるとバルク感が半端ないですよね。
30mmオーバー当たり前。

…あ〜、
…また脱線いいすか?
トルンカートゥスの話もしていいすか?

■トルンカートゥスの話(黒メス、茶メスの話)

今では平然と別種になっているトルンカートゥスホソアカが、
割と最近までエラフスホソアカのフォームの一つとされていたのは
私が触れるまでも無く有名な話。

割と昔からオスについては「緑色系⇄赤色系」で区別されていて、
その後にむしろ「紋有り⇄紋無し」だよねって話があったんですが、
メスにも2タイプいることが知られるようになったのが2007年頃〜2010年頃でした。

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(1998年の奈良オオニュース)

オスに遅れてメスにも2種類いることは(俗にいう黒メス、茶メス)
2007年のBE-KUWA23号の吉田賢治氏の記事にて指摘されてたんですけど、
不思議と一般のショップでも明確に分けて販売されだしたのは2010年位でした。
差別化されて黒メスに高い値段がつきだしたのも2010〜2011年頃。

当時全体的にカブクワ飼育が下火の時代で
エラフスホソアカの入荷自体が少なかったのもありますが、
しばらくはエラフスのオスにトルンカートゥスのメスがついてたり、
茶メスに混じる黒メスを探したりと中々楽しい時期でした。

今は閉店していますが当時中野にあったショップさんでも、
数多くのエラフスホソアカが入荷していて、
私も例に漏れず黒メス抜きに買いに行ったんですけど、
「お兄さんがくる前に来たお客さんもなんでかメスばっか見てたよ〜」なんて言われたこともあったり。


アリストさんや九州オオクワさん等の大手輸入卸会社で、
黒メスが分けられたのはもっと後だったと思います。

その後も毎年初入荷(その年の初モノ)には高い値段がつきますが、最近ホント高い
6月頃には必ず下がるので安く欲しい人は3月末〜4月に買うのでは無く、
少し待つことをオススメします。

■2016年7月17日 産卵セット

小プラケに産卵一番固く詰めただけの簡易セット。
飼育が難しいと言われるエラフスですが、
エラフスもトルンカートゥスも産卵自体は全く難しくありません。

むしろ私は産卵セットは低温にしない方が良いと思ってます。
(大体23〜24℃前後で産ませてます。)

■2016年9月20日 割り出し

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幼虫12頭と、

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卵7つの計19回収。

メスはまだ元気いっぱいの完品ですが、飼育分としては十分なので打ち止め。
採れた幼虫はライトマット、Uマットなどいくつかに分けて800ccボトルで飼育。

■2017年8月8日 WF1羽化

ボトルを覗くと羽化してました。
本当は1400ccに交換したかったのですが、
メスが蛹室作って1ヶ月後位にはオスも蛹室を作ってしまい1本孵しに…

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う〜ん、

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綺麗だけど、
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綺麗なんだけど、

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ちっさ(笑)

よく自虐的に小さく羽化させてしまった個体を「ハサミムシ」なんて呼びますが、
ガチのハサミムシ顎ですね。

全頭はデータに残ってませんがどれも48mm前後とかだったと思います。

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ただメスは大きくなってくれて、
34mmUPがほとんどでした。
エラフスのメス、大きくなると胸がゴツくてかっこいいんですよね。

20℃前後で飼育していたつもりなんですが、
エラフスの幼虫飼育にとっての20℃って多分全然低温じゃないんですよね。

温度は低温じゃないと大きくならないってだけで比較的丈夫な虫だと思うんですけど、
マットの劣化に弱いので微粒子系のマットに入れていると割と死にます。
カブトマット系(使う人いないと思うけど)は幼虫飼育に向かないかなぁ。

結果的に1本孵しにするんだったらせめて1500cc位にしておけばよかった…。

羽化時期も1月遅れくらいでドンピシャだったので、
3~4ペアは作れる感じでしたけどなんとなくブリードせず。

■エラフスの大型化がどれ位難しいか

また脱線させてください。

エラフスホソアカ、数々の書籍でこぞって飼育は難しい、
大型で羽化させるのは難しいってあるんですが、
むし社のBE-KUWAギネス(レコード)の変遷を追って見ました。

①2003年 70.2mm (発酵マット) トルンカートゥス
②2008年 85.0mm (発酵マット) 23℃で800ccマヨビン2本ってマジかいな
③2009年 89.1mm (材飼育)   16℃で18ヶ月
④2010年 92.6mm (材飼育)   19℃でおよそ2年
⑤2012年 93.6mm (材飼育)   15〜20℃で2年
⑥2013年 97.5mm (材飼育)   2年。伝説のエアポンプ循環飼育。

う〜ん、技術の進歩ってすごいなぁと思いつつ、
自分の今回のハサミムシを見てしまうと、
進歩しているのはあくまでトップレベルの方の話であって、
誰でも大型出せるわけじゃないのよね。

ただ昔は低温飼育なんてアンテ飼ってる人くらいだったのが、
今や一般のブリーダーの飼育温度が20℃切ってたり、
ガチ勢でなくてもワインセラーを持ってる時代。

誰かが100mm出しちゃうんだろうなぁ。

BE-KUWA19号(2006年)の飼育記事では
70mmの飼育品エラフスホソアカに、
「飼育経験があればこの個体がいかに大きいかわかるだろう」のキャプションが。
…時代って怖い。

ちなみに雑誌KUWATAのレコードでは、
2004年にトルンカートゥスで73.1mm、
2006年にエラフスの86.5mmが紹介されてます。
尚、この個体はKUWATA誌で既に紹介されていることもあり
レコード認定はされませんでしたがBE-KUWA19号でも88.1mmとして紹介されてます。
飼育はヒラタケ菌糸。
もう何が正解かわかりませんね笑


■2017年10月 幼虫購入(2サイクル目)

自作マットが結構余っていたので、試しに若齢幼虫を購入して飼育することに。
15匹買わせて頂いたんですが到着時に半数位死着していたのと、
かなりドタバタしていた時期だったのでプリカのまま2ヶ月弱放置してしまい
投入はかなり遅れてしまいましたが11月の末に自作マットへ。

■2018年4月〜 ボトル交換

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最大が11.6g。よくわかりませんけどあまり大きくないかなぁ。

■2018年7月10日 蛹確認

蛹室の窓からケツだけ見えていたのを暴いて見ました。

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今年は3月頃から諸事情で
ブリードルームの設定温度を20℃→25℃前後に上げざるを得なくなり、
あまり期待していなかったんですけど、(7月より飼育部屋を移動して対応)
なんとかハサミムシは回避できそうで一安心。

■2018年8月 羽化個体紹介

結論から言うと、

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♂は68mm、56.5mm、51mm、
(もう1♂蛹してます)
♀は28.5mm〜32mmでした。


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①♂68mm
2017年11月28日 2齢  自作マット1500cc
2018年  4月18日 11.6g   自作マット2000cc
2018年  7月  9日 蛹8.0g
2018年  7月12日 羽化68mm

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②♂56.5mm
2017年11月28日 2齢  自作マット1500cc
2018年  4月18日 9.1g(かなり黄色化)  自作マット2000cc
2018年  7月中旬 羽化56.5mm

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③♂51mm
2017年11月28日     自作マット800cc
2018年  5月  3日 7.8g   自作マット1500cc
2018年  8月10日 羽化51mm


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一応最大だった68mm。
大歯型ですって言ったら怒られちゃうかな( ◠‿◠ )
15年前だったら自慢できるサイズなんですけどね。

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きちんと顎基部突起も出たので、意外とって部分もあって割と満足かも。

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裏。
今回もハサミムシ的なサイズも出ましたけど、
年々改善されてる感は有り。

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1♂蛹が残ってるんですが、このオスの方が蛹で7.2gと小さいものの、
比率的には最も長歯型かも。
結構大歯型も小歯型も体の大きさはそこまで変わんないんですよね。

今回反省点としてはいっぱい有りまして
若齢時のプリカでの放置と、
後半に低温を維持できなかったこと、
交換タイミングが悪かったこと、
(もっと早めの交換か、2000cc1本孵し、1500cc1本だと足りないですね)

また挑戦するのであれば75mm〜80mmくらいを狙いたいですかね。
多分自作のマットは割と適合していると思います。

今回メスとの羽化ズレは3ヶ月位つきました。
ただメスは前回飼育時の方が大きかったので、
ラインとしてのポテンシャル的には前回のハサミムシの方が有利だったのかなと思ったり。

2メス生き残っているんですが、即ブリ♂が手元にいないので厳しいかな〜。
野外品で♂単品買えばいいやと思っていたんですが、
あれほどヤフオクに並んでたオス単品も夏休み中に売り切れちゃったみたいです。

飼育をやり切った感は得られてないので是非ともリベンジしたい。
要らなくなったオスがいたら是非是非ください( ͡° ͜ʖ ͡°)

マット飼育でどこまで行くかに興味あるんですが、
何より私もヒタヒタ材飼育してみたい(笑)

ヨロピコ。