■パラレルスネブトクワガタ
Aegus parallerus

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産地:インドネシア スマトラ島 ベンクール
累代:WILD
状態:3♂5♀【9/6通関品】
購入価格:
♂43mm♀31mmペア 1,242円
♂33.5mm♀29.5mmペア 1,134円
♂33mm♀27mmペア 1,134円
♂31.5mm♀26mmペア 1,080円
♂30mm♀26mmペア 1,080円

※発送前2♂死亡で返金対応の為、3♂5♀

レコードサイズ:
野外54.9mm
飼育52.2mm
------------------------

■2018年10月初旬 WD成虫入手

ヤフオクで落札。
飼育が難しいといわれる本種ですが、
過去の飼育記録を見返してたら10年前にも飼育してたみたいです。(もちろん撃沈してました)
どうやら2回目の飼育みたいですね。
ちなみに当時2009年の購入価格はビッダーズオークションの1円スタートで1ペア131円(笑)
もっと昔はどうだったんだっけと思って奈良オオのチラシ確認したら20年前の1999年はペア15,000でしたね。
…まぁ定期的に入荷される無理のない値段が一番ってことですね。

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3♂と(♂33.5mm、♂31.5mm、♂30mm)

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5♀での挑戦です。
(31mm、29.5mm、27mm、26mm、26mm)

メスの左から2番目と右から2番目は赤い個体ですが羽化直後ではありません。
(購入から半年経過後も同じように赤いままでした。)
後日ショップさんで実見しながら選んだ際にも思いましたが、
パラレルスはオスもメスも赤い個体がチラホラいます。

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♂33.5mm。
この個体は小型で歯型もイマイチですが、
ざっくり国産ネブトを大きくしたようなネブトです。
どっちかというと国産の完全大型互換はタイワンネブトかな?

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メス。
パラレルスのメスってオスみたいな形してますよね。んでデカイ。
サイズも似たような大きさのプラティオドンのメスよりデカイ。
MAXサイズはそうでもないですけどアベレージはパラレルスのメスの圧勝です。
メスサイズだとクーラン、グランディス、パラレルスが3トップかな??

ちなみにパラレルスネブトの飼育レコード♂52.2mmは
2002年の第2回のギネスコンテストから15年以上ずっと更新されていません。

野外レコードはプラティオドンと同じようなサイズなんだから、
プラティオドンの野外最大サイズが飼育で出せるんだったら、
これはパラレルスでレコードいけるんじゃないかな〜?っていう甘い考えも持ってたりして。

■2018年10月6日 産卵セット&ネブトの産卵セット方法について

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コバエシャッター小サイズに自作の産卵マット。
今回はラフェルトとプラティオドンの食いカスにUマット混ぜ混ぜ。
最近オークションでも外国産ネブトの産卵セット方法を
よく聞かれるので説明したいと思います。まぁいつも通り長文になってしまう訳ですが。

①ケースの大きさ
大きなケースは使わず少し狭目のケースを使います。
1500ccボトルがメインで、クーランやパラレルスでも小プラケ程度。
壁面から見える場所に卵を産まない種類(=難しい種類。クーラン、パラレルス等。)は
1500ccですと表面部分を除いた産卵スペースが限られてしまいますので
小プラケ位はあった方が良いです。クーランは団子作る傾向が強いので特に。
(ただ我が家ではさすがに狭すぎるかな?と思われたカリマンタン産パラレルスの1500ccボトルセットでも70弱産んでます。)

「何故狭いケースかというと排泄物で汚れて馴染んできた環境を産卵環境として好むから」です。
順次説明していきますが、
これを再現するための次に説明するマットの「粗粒子」であり、
食べるゼリーの選択でもあります。

②産卵マットの選択
産卵マットは他種に使用した使用済マットに新品のUマットを混ぜ込むだけ。
種類によって変えたりしますが、だいたい我が家の外国産ネブト共通の産卵マットです。

使用済マットの元はホダ系、生オガ系がオススメです。もしくは菌糸カス。
理由はカブトマットに多い廃菌床系のマットの使用済だと後々「良い状態」を保てないからです。
HRNドルクスさんのライトマットLv3のような粗いオガが混ざるのが理想。
ただし使用済を混ぜる際、コバエが湧かないように気を付けてください。
産卵セット初期でコバエを沸かしたら終わりです。

粗い粒子を混ぜる理由は水分量の融通が効くから。
(多少水分過多になっても耐えてくれるから。=許容される水分量の幅が広い。)
粗い粒子があることで排泄物などで水分量が多くなってきても底部分が腐らずに通気が確保できます。
私の考える「良い状態の水分量」は腐る手前の水分量。
セット後1ヶ月程で斑点状にマットが腐ったスポットが散らばる程度の水分量が理想で、
(マットの表面部分がゼリーと排泄物で腐って少し酸っぱいかな?と感じる程度)
そこから逆算した水分量を考えセットに加水します。
「セットから産卵までの反応が遅い長期戦になりやすい難関種」だとこれが重要になってきます。
セットを選り好みしないプラティオドンやフィリピンネブトに水分量は悩む必要ないです。

使用済マットオンリーよりも新品のマットが混ざってくれた方が良いです。
違う畑のマットが2種類入ることによって良い意味でマット同士が喧嘩してくれるのか???、
この状態のマットは菌糸や粘菌などが生えにくく、良い状態を保ちやすいです。
新品のマットは私はUマットをよく使います。
「Uマット=幼虫飼育、Nマット=産卵用」という観念に縛られがちですが、
ネブトの産卵についてはUとNならUマットの方が優秀です。
初期の栄養もサイズ目指すには大事ですからね。

③詰め具合
固詰めです。
底半分は固詰め、上半分はやや固詰め。
導入坑として数カ所グリグリマットに穴を開けておいてください。
特に小型種の場合は穴の中心部に割り箸を刺して残しておくと潜る際の足場にもなってくれます。

④餌ゼリーについて
ネブトは腐りかけのゼリーを好むっていうのは有名な話ですよね。
所謂、食べるゼリーと食べないゼリー。
ここに踏み込むと食べるゼリーにも、すぐに食べるゼリーとすぐには食べないゼリーがあります
すぐに食べるタイプのゼリーをたくさん与えてガンガン排泄させるのが大事だと思っています。
ゼリーはゼリースプリッターで半ギリ、
できれば殻から全出しした状態で16g×1〜2個をマット上にひっくり返して与えます。
1500ccボトルのセットだとゼリーの殻を足場にして
ボトル蓋裏に登ってフィルターを噛むことが多い(=ハエが入る)のと、
全身でゼリーに潜り込んで搔きまわすようにして食べるので、
弱った個体がゼリーの殻の中で溺れ死ぬのを防ぐ為です。

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ちなみに「食べるゼリー」は別の企画で市販のゼリー買い漁って試してるうちに
偶然辿り着いたゼリーなんですが、私がよくオマケで入れてるゼリーです。アレです。

あんまりマイナス的なことを書きたくないのですが、
黒虫界隈でポピュラーな某ゼリーはネブトにはあまりオススメしません。

というかPゼリーとSゼリー、P>Sみたいなグレード設定だけど個人的に効能的序列は逆だと思うのは私だけでしょうか。
ちなみにこのゼリー企画、画像以外にも買ってて最終的にゼリーだけで5万超え…。(半年で全部無くなったけど)
全部実食もしました。当然お腹壊しました。
「昆虫ゼリー、スイカやブドウみたいな色の見た目をしてても、実は全部バナナ味(バナナフレーバー)」
というかき氷シロップのヒミツ的なトリビアを残しておきます。(但し一部黒糖系などは除く)
あと保険で書くのもバカバカしいけど真似しないでくださいね。


ゼリーについては選り好みの激しい種類、悪食の種類がありますので、
飼育品プラティオドン等では悩む必要はないです。

⓪そもそも論、個体の選別
①~⑤と説明してきて敢えての最後にゼロなんですけど、野外ネブトは最後は運です。
厳密にいうと最後っていうよりも個体選別時の最初の引きなんでゼロにしたんですけど。
私よく言いますけど「産卵に関しては技術云々よりもやることやったらあとは運」ってやつですね。
幼虫飼育の結果である「サイズ」が多様な技術が存在して人が介入し左右できる余地が大きいのに対して、
成虫ブリードの結果である「産卵数」については、
個体個体が持つポテンシャルを引き出す作業に過ぎないと思ってます。
まぁそれも技術っちゃ技術なんですけど。
麻雀みたいなもんかな。運なようで運じゃなくてでもやっぱ運頼み的な部分はあるよね的な。
あぁすごい良い例えだ我ながら。


野外品は産卵済のメスが多いとよく言いますけども、
そもそも長期戦に耐えない寿命間近のメスを引いたら終わりです。
野外品ネブトで「爆産大当たりの個体」を引かなくても、
説明した産卵セットで長生きさえしてくれれば絞りッカス的に産卵してくれる個体も多いです。
寿命の見分け方として頭部のグラつきが無い個体を選ぶというのがありますが、
通販では触って選ぶことはできません。
ちなみにこの見分け方、自分で発見したと思って得意げに人に教えてたりしたんですけど、
先ほどBE-KUWA見返してたら何年も前に『BE-KUWA34号』誌上で上極氏(2010)の飼育レポートで紹介されてました。車輪の再発明あるある。

ということで本気で幼虫採りたかったら数ペア買いましょう。
幸いネブトは単価が安い種類が多いです。

どうしても「野外品ネブト=難しい」のイメージは強いですけど、
産むか産まないかでいえば我が家では結構産んでくれています。

以下参考までに本種以外の2018シーズンの記録。
※到着時死亡やセット前死亡は打席数に含まず
※飼育品は♀複数投入セットも1打数としてカウント
※執筆時時点で存命且つ継続セット中だが産卵が確認されてないものは失敗としてカウント(クーランネブト)。


野外品
・プラティオドンレオポルディ  7打数6安打 打率0.857
・プンクティトラックスネブト  5打数5安打 打率1.000
・インプレッシコリスネブト   2打数2安打 打率1.000
・フィリピンバンガイエンシス     6打数3安打 打率0.500
・ハマトゥスネブト       4打数3安打 打率0.750
・アクミナートゥスネブト    5打数5安打 打率1.000
・パラレルスネブト(カリマンタン) 4打数3安打 打率0.750

飼育品
・マラパネブト      2打数2安打 打率1.000
・ウッドフォードネブト  3打数3安打 打率1.000
・クーランネブト     7打数5安打 打率0.714
・アクミナートゥスネブト 1打数1安打 打率1.000
・ミンダナオネブト    2打数2安打 打率1.000
・フィリピンネブト(原名)  2打数2安打 打率1.000
・フォルニカートゥスネブト1打数0安打 打率0.000
・ニシカワネブト     5打数4安打 打率0.800
・アチョスネブト     1打数1安打 打率1.000
・インプリカートゥスネブト3打数3安打 打率1.000


漏れもあると思いますがシーズン通算60打数50安打の8割3分3厘。
飼育品プラティオドンは2軍成績扱いで敢えてカウントしてませんが2018シーズンは15打数13安打位だと思います。
私は一般種トータルの産卵セット成績でも2割程度は普通にボウズ食らってますから、大体
ネブト=難しいってのはイメージ先行の部分もありそうですね。
聞いたら野外品フィリピンネブトは某新潟のネブト神も当たり外れあって結構外すよねと仰ってました。

ということで是非挑戦してみてください。
最終的には運なわけですが宝くじも買わないと当たらないですからね。
そして誰かフォルニカートゥスくれ。台湾ネブト起きねぇ。

◾️この産卵方法の考察と赤枯れマット不要論

様々な情報を参考に試行錯誤して1年程前にこの方法に辿り着いた訳ですが、
(別に個々の方法は私が発見した訳じゃありません)
なんで狭いケースでオシッコドバドバさせると産むのかの理由がわからなかったんですよね

日本の場合でイメージすると、
ネブト幼虫は野外で赤枯れ材から出てくる訳で、
成虫が樹液場で全身ドロッドロになって樹液吸っているのは見ますが、
別に樹液場で餌食いながら産卵している訳じゃないですよね。

パラレルスやプラティオドン、クーランなど外国産の大型ネブトは白枯れ食いなんですが、
その場合でも別にオシッコドバドバとあんま関係ないよなぁと。
ただ一つ興味深いのが、
複数の採集者さんと現地標本商の方から聞いた、
「外国産ネブトWILD成虫はバナナの木の根元の中心部分で採集できる」という話。
腐ってジュクジュクになった部分を捲っていくと出てくるそうです。
ウッドフォードやマラパなんかが有名ですよね。
でもこれも成虫の採集環境の話であって幼虫の話じゃないしな〜、
なんて思っていたんですけど、
ある時ジャングルイーグルさんと電話でお話ししていたら面白いお話が聞けました。
実は「幼虫もその腐ったバナナの木の根本を掘ると出てくる」そうです。

で、もう一個素敵なヒントを頂けました。
「竹ネブト」と「○○菌」。
以前聞いたことはあったものの完全に忘れていましたが、
国産ネブトも赤枯れ材に限らず、腐った竹や根部分から採集できるんですよね。

イーグルさんによればこのバナナの木と腐った竹に共通するのが○○菌で、
ネブトはこの○○菌のあるところを産卵環境として好むそうです。

・ネブトに合っていると発見したゼリーの原料
・粗い粒子と多孔質
・小さめのケースを使い、排泄物で腐敗させること


○○菌と併せて考えるとなんだかパーツパーツが全部噛み合ってくる気がします。
そう仮定すると核心・原理を知らずとも意図せずその○○菌環境を目指してた訳です。

「ネブトは親メスが周囲の環境をコントロールして産卵に適した環境を作り出す生態である」
というよりかは、
「野外では○○菌の環境下に好んで産卵するように飼育下では親メスにその環境を作らせ、再現することができる」
というニュアンスの方が近いのかもしれません。

そう考えるともっとダイレクトに産卵に適した環境を再現することができるのかもしれないですね。
○粉パウダーとか。もっとダイレクトに体にピースな某飲料とか。
ということで外国産ネブトについては赤枯れは話題として触れる必要もないのかなと。
(ひとくくりに外国産ネブトといっても小さすぎる種類は興味なくて飼育もしないのでそこはわかりません)

最後に、なんかもっともらしい感じで書きましたけど正解なのかは不明ですし、
こう考えると納得いくよねって話なので要検証ですね。
飼育方法も人それぞれで、皆さんそれぞれ意見があると思います。

そしてジャングルイーグルさん貴重なお話ありがとうございます。
(上記の電話は半年ほど前の話ですがブログ掲載の許可も快く頂けました(_ _))

ウェブ上でも
直撃!!藤見件。藤見泰高氏のホームページ。
北摂BreedingClub
は参考にさせて頂きました。
相当昔の記事ですが、大変為になる素晴らしい記事です。
今年の春にジオシティーズのサイト全部消えたの本当に痛いよねぇ〜。

■2018年11月18日 割り出し

飼育記からだいぶ話が逸れましたが、割り出し結果。今回どんだけ長い記事になるんだ。
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ケースをひっくり返すと、
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産んでましたね。
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ケース側面から全く幼虫を確認できなかったのですが、37匹。
メス真っ赤っかなんで凄い違和感ありますけどね…。

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もう1セット、幼虫採れてコチラは7匹。
たくさん産むのもいいですけど絞った感ある少数も良いかも。

結局この日の割り出しは5セット中産んでいたのは2セットでした。
ケース側面の様子から全ボウズだと思っていたので嬉しかったですね(^-^)

■2019年4月6日 割り出し(3回目)

年末にも割り出したのですが産んでおらず、
放置状態で暫く経ってふとケースを見るとケース側面にかなりの数が見えていました。

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ひっくり返した状態。
あ、ベストだと思ってるのこの水分量です。ところどころ色が変わってる感じ。

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11月、12月とボウズだったセットから、なんと53匹。

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他にも5匹だけ出たセットと、(前回37匹産んでいたセット)

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卵が6個出たセット。

結局これで5メス中4メスが産んだことになりました。


■9/6通関購入品各メスの産卵結果&所感

①♂31.5mm×♀26mm同居セット
2018年10月  6日 産卵セット開始
2018年11月18日 37匹(割り出し後にオス成虫抜き取り。メス体重0.6g)
2019年  4月  6日 5匹
計42

②♂31mm×♀27mm同居セット
2018年10月  6日 産卵セット開始
2018年11月18日 7匹(割り出し後にオス成虫抜き取り。メス体重0.4g)
2018年12月20日 ゼロ(メス死亡確認)
計7

③♀31mm(×♂31.5mm)
2018年10月  6日 産卵セット開始
2018年11月18日 ゼロ(♂31.5mm追加し、同居セットに変更)
2018年12月20日 ゼロ
2019年  4月  6日 53匹
計53

④♂33.5mm×♀29.5mm同居セット
2018年10月  6日 産卵セット開始
2018年11月18日 ゼロ(♂死亡確認補充無し。メス体重0.6g)
2018年12月20日 ゼロ
2019年  4月  6日 6卵
計6

⑤♀26mm
(×♂31mm)
2018年10月  6日 産卵セット開始
2018年11月18日 ゼロ(♂31mm同居セットに変更)
2018年12月20日 ゼロ(メス死亡確認)
計0

5打数4安打の5メスで計108ということで満足な結果になりました。

③のメスについては♂31.5mmが当たりオスだったのか、暖かくなってスイッチが入ったのか…。
ちなみにメスの0.6gって持った感じメチャクチャ軽いんで計ったんですけど、それでも産むんですね。
後は初回の割り出しでゼロでも諦めてはいけませんね。
通関から半年経っても産むんですから。

ちなみにカリマンタン産WILDも飼育してるんですけど、(4打数3安打でした。)
パラレルスの産卵傾向として、
産むときはダラダラ産みではなくて短期間に纏まった数をドバッと産むドバ産み傾向があります。
割り出し時には同じようなステージの幼虫が一斉に採れて、
幼虫と卵が同時に出てくることはあまりありません。
また1セット目が採れて、2セット目もという形で継続的に採れるということも少ないです。
(まぁパラレルスに限らずネブト全般そういった傾向ありますけども。あ、クーランはダラダラ産みです。ドバ産みも時々するけど。)
逆にいうと、割り出し時に卵が出てきたら貴重な産卵期間途中で割ってしまってるということで、
ちょっと勿体ないタイミングなんですよね。
他のブリーダーさんも同じことを仰っていたのでまずそういった傾向があると思います。

クワガタ〜スズメバチ等の覚書様にとても興味深い記事がありまして、
産まないメスの蔵卵確認をされたそうです。
産まないメスの腹に卵は残ってなかったそうで
この「産まないメスに蔵卵が認められない」のも「ドバ産み」と関係があるのかもしれませんね。

■2018年12月 他にも6ペア買ってたよって話

2018年の年末にもベンクール産WILDを6ペア購入してたんですけど、(計17,000円笑)
こちらは全部失敗しました。
厳密には7ペア買ったんですけど到着後すぐ死んだペアがいたので6ペアでカウントしてます。ネブトの野外品はしゃーない。

1500ccボトルのセットで試しに余った赤枯れを混ぜたセットを組みまして、
1ヶ月で割り出したらボウズだったので、
次の日にセット組み直そうと濡れティッシュだけボトルに入れた状態に。
そのまま1週間放置してしまい、全て乾燥死…m(_ _)m

短絡的に赤枯れ入れたからダメだったという訳ではないと思いますし、
継続してセットできてたら産んだとは思いますが、
厳密な記録上は5打数4安打だけでなく11打数4安打ということで↓
2019年に入ってからもむし社さんのガラガラで当たったりしてるんで何が何だか。

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WILD♂50mm。
めちゃめちゃカッコいいので紹介だけしておきます。
まさにオオネブトクワガタ

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手元の書籍では、
池田晴夫氏(1993)『世界のクワガタムシ』でオオネブトクワガタの和名を見つけたんですけど
どこかでオバケネブトクワガタって和名も見たことある気もするんですよね〜。
私の勘違いかなぁ…。

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ちなみに50mmペアで4,320円でした。

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いやぁ〜、かっこいい。

◾️2019年6〜7月 幼虫飼育結果

まだ初期ロットしか羽化していませんが途中経過。
今回は2018年11月に採れた幼虫を18〜20℃の管理温度で、
自作マットの
2000ccでの1本孵し、
1500ccでの1本孵し、
  800ccでの1本孵し
の主に3パターンで飼育した前半ロット飼育結果のご報告。

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この集合写真は左から49mm、48mm、47mm、46.5mm、36mm。

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49mm。
わざわざノギス当てるようなサイズでもないですが、途中までこれが最大だと思ってました。

一番大きかったのは、
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6.2gの蛹からの、(プラティオドン換算で51mm〜52mmなんでちょっと期待してました。)

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おっ、
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おっ、
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おっ、
このピンセット53mmなんですよね。
体固まるまで触れないし、レコード認定基準の52.2mm+0.5mmの52.7mmに
ちょうど良かったので横に置いて撮影。
いや〜、この0.5mmがイヤらしいんですよね。特に小型種の場合。


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まだ羽化後10日ほどですが、現時点で52mm。
残念ながらレコード更新ならず。
固まっても51.5mmは切らないと思います。

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あ、最近膝にノギス挟んでモジモジしながら写真撮るのやめました。進歩。

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♂46.5mm。45mm超えてれば普通にカッコよくて見れるサイズと思います。
あとは体型の個体差もありますね。
この46.5mmは中々太くてかっこいいなと思った個体でした。

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ちなみにメスの最大は32mmでした。
aucfunで過去10年のヤフオク落札記録を遡って確認しましたが、
ネット上で確認できた野外入荷最大が31mmでしたので結構大きいかな?
ちなみにヤフオクの過去10年データでのオスの出品最大は51mmでした。
ビッダーズ時代まで遡れば52mm位は出品されていた気がします。


◾️データ
(1)2000ccブローでの1本孵し群
①♂52mm(暫定数値)蛹6.2g
②♂49mm
③♂49mm蛹5.3g
④♂蛹3.9g(まだ羽化してないけど記事書いちゃった。羽化したら45mm位?)
⑤♂36mm(…まぁこういう個体も出てきます。これなかったらミニマムで45mmくらいだったんだけど)
⑥死亡
⑦死亡
⑧死亡
⑨死亡

(2)1500ccブローでの1本孵し群
①♂46.5mm
②♀32mm
③♀30mm
④♀29.5mm
⑤♀29.5mm
⑥♀29mm
⑦死亡
⑧死亡
⑨死亡

(3)830ccクリアボトルでの1本孵し群
①♂48mm蛹5.0g
②♂47mm
③♀31.5mm
④♀31mm
⑤♀30mm
⑥♀29.5mm
⑦未開封
⑧未開封
⑨死亡
⑩死亡
①①死亡

◾️次回へ繋ぐための幼虫飼育所感。

とにかく幼虫期間が短い。50mmクラスでも半年位。
 知ってたけど想像以上に早すぎる。18~20℃でやってんのよ????
 1本孵しの場合は餌が一番良くなる状態をどこに設定するかが大事なんですけど、
 10ヶ月程を想定して粗粒子を混ぜていたので、餌が腐朽して馴染む前に羽化してしまった感じ。
 ざっくり言うと食い切れてなくて、1500cc、2000ccは容量を全く活かせてないですね。
 次回はもうちょっと微粒子多めの最初から熟度高めで。
・とはいえ大きいボトルからはやっぱり大きいの出るかな、と。
 これはプラティオドンなんかと同じですね。綺麗に比例はしませんが傾向として。
 1mm伸ばすためだけに800ccで羽化する種類を2000ccに入れますか?って話なんですけど。
 デカくなるのわかってるんだったら私は迷わず入れます。
 ちなみにカリマンタン産で800ccで50mmクラスが出ているので燃費がいいんでしょうね。
 プリンカップ組も控えてますがある程度のサイズにはなりそうです。
 新潟の某マット神は過去に800ccで52mm複数出していると仰られていたので、
 容器サイズではない大型へのアプローチが欲しいところ。
死亡率高い。これは多分温度もあります。カリマンタン産も結構死んでます。
 ネブト飼育は死ぬ時はまあまあ死ぬんですけど3~4割死ぬのは流石に凹みます。
 様々な文献で「低地の虫」とあり、高標高にはあまりいないそうです。
  【鈴木和之氏(2002)『世界のクワガタムシ生態と飼育』】
  【むし社(2011)『BE-KUWA38号 スマトラのクワガタ大特集』】

 もちろんパラレルスでも低温飼育は大型化の鍵だと思うんですけど、他のネブト以上に低温で死ぬ気がします。
 少なくともプラティオドンよりは絶対弱い。
 2~3日の瞬間的な低温は耐えますけど長いスパンでの低温が続くとネブトは死亡率上がりますね。
・繭玉が薄い(=脆い)。繭玉の強度ってマットの質にも左右されますがパラレルスは特に脆い気がします。
 メスなんかは繭玉と言えないような蛹室で羽化している個体が少数ですがいました。
・自力脱出早め。自力脱出の定義って難しいんですけど、
 ①繭玉に穴だけ開けて繭内にとどまっている段階、
 ②一旦表面までトンネルを掘ってまたマットの中に戻る段階、
 ③完全にマット上を徘徊する段階
 特にこの①〜②が他種のネブトよりメチャクチャ早い印象です。
 繭が脆いことも関係しているのかもしれませんが。
・なんか幼虫のマットの状態を安定させる能力が弱い気がします。
 ヘラクレスのリッキーがコロッコロの綺麗なウンコだらけになるのに対して、
 アクティオンとケンタウルスがドロドロになりやすい的な。ラインの引きかもしれませんけども。
・成長が早い分、幼虫がMAX体重に乗るのが早いですが思ったより大きくなりません。
 今回1本孵しですが試しに幼虫がマット表面近くに来ていた際に2~3匹掘り出し計測したところ12~13gでした。
 これがあったんで当初プラティオドンより幼虫は全然大きくなると思ったんですよね〜。
 これも例えるとリッキーと血統モノのヘラヘラ見たいな感じかも。
 リッキーが簡単に孵化後半年で100g乗るけど、(初期の成長曲線が急勾配)
 その後は緩やかで意外にサイズには繋がらなくて、ヘラヘラが2年くらいかけてゆっくり成長して最終的に大きくなる的な。
 パラレルスの場合はスタートダッシュして緩やかモードになるとすぐ繭作っちゃう。
・頭幅はプラティオドンに比べると小さい。
 低温は前提条件として若齢時に詰め圧や粒子熟度の調節で長く引っ張ってデカイ3齢初期を目指すのもアリかも。


◾️締め。

飼育レコード更新ならず。
今期は他の種類で中々良い結果が出ていて、
中でもパラレルスは結構いけるんじゃないかな〜って思ってたんですよね。

冒頭の方で書いた、「野外レコードがプラティオドンと同じようなサイズなんだから」ってくだり、
よく考えたらプラティオドンとパラレルスじゃ採集量が全然違うと思うんですよね(汗)

あと最近思うのは小型種の1mmってほんと大きい。
今回レコード更新まで1mm未満ですけど、多分これは全然「惜しくない」。

①レコード近辺が出せるようになる
②レコードに並ぶ
③0.5mm以上更新する

って言う壁があるので、1mm差があったらそれはもうとても大きい壁なんですよね。
あとは「限界の直前を取ったもん勝ちの爆弾ゲーム」じゃないですけど、
0.5mmの更新条件が厳しい。イヤラシイ。いやよくできてるルールです。

あとは後半組と別産地に期待なのと、
飼育品のブリードが楽しみです(^-^)なんか飼育品は飼育品で難しいってマジですかい?

今回多分歴代飼育記事の中で最長文です。
最後まで読んでくれた方はどれくらいいるんでしょうか?

そんな熱がこもるほどパラレルス、オススメでございます。
野外品で年に1頭位オークションに出品されるかされないかってサイズが、
半年で羽化してきてくれるってのは飼育の甲斐がある大きな魅力だと思います。