■ルマウィノコギリクワガタ
Prosopocoilus lumawigi

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産地:フィリピン ミンダナオ島 コンポステラバレー州 マラグサン 
累代:WF1
状態:♂60.5mm×♀ 3256円
【羽化日:♂2020年3月 ♀2020年1月】

レコードサイズ:
野外70.1mm
飼育70.7mm
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■2020年5月 成虫入手

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ルマウィノコギリ。

今回初めて飼育するんですが、
届いてみてまずそのゴツさにビックリ。
ノギス計測する時に手に乗っけるじゃないですか。
もうね、足の強さがドルクスレベル。

前から飼育してみたいなぁと思っていたんですが、
なんとなく手は出さずにいた本種。
2019年に相当数入荷したようで、安価に飼育品が出回っているので購入してみました。

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ラコダールとかルデキンを思わせるツヤクワみたいな不思議な顔。
『世界のクワガタギネス』(エルアイエス)では、
オニヅラノコギリの和名が紹介されています。

標高1000mに生息、ヒナグドンの木で採集するんだとか。
ちなみにこの個体で60.5mm。
かなりの大型みたいです。
なんでも飼育だと55mmですら難しいんだとか。

まだ休眠中なので暫くおくことに。

■2020年6月14日 産卵セット

オスの活動開始に合わせて、
メスは同産地別血統のWF1即ブリメスを入手して産卵セット。
中プラケで♂♀♀♀セット。


■2020年10月29日 割り出し

87匹。
…そりゃ3♀いたらそんだけ採れますわな。

尚、別ラインや別産地も同時並行で産卵セットしましたが、
1メスで50位は簡単に産みます。
マットにも材にも産みますし、ノコギリらしく産卵セット後の反応も早いです。
殺すぞ!ってカタチ通りメス殺しは勿論あります。
が、同居でセットしちゃっても意外と大丈夫。やっぱ色々とノコギリですね。


採れた幼虫は自作マットへ。
830ccで16匹、
1500ccで色々と変えながら18匹、
後は実験的にプリンカップの200cc〜540cc、
ブローなどへ。

1サイクル目で全く目安がわからなかったんですけど、
1500ccボトルで充分行けるサイズ感(幼虫体重)にしかならんだろってことと、
過去のレコード個体の幼虫期間を参考に1年弱を想定。

私は勝手にマット○○飼育と呼んでいるんですけど、
水分多めでそれはまぁ床に悪そうな特殊な詰め方をしました。(後述…多分)

■2021年5〜7月 小型個体羽化

触らないようにしていたんですけど、
ボトル側面から羽化個体が見えたので掘り出してみました。

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♂48.5mm。

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♂52mm。(7月中旬羽化)



…ちっさー!! 
 
尚、どちらも1500ccボトル1本孵し。
というかね、
もう掘り出すまでもなく小さかったんですよ。
ボトル持ったときの側面のオガがほとんど喰えてないんですもん。

補足すると2020年の10〜11月作成完成〜投入のマット、
いくつかロット作ったんですけど、その中の一つに他種で散々な結果になってしまったマットがあって、
「久しぶりにゴミマット作ったなぁ、ルマウィにもそれ使っちゃったんだっけなぁ」と思ってたんですよね。
この時はLINEグループとかでも、「ルマウィ全然おっきくならんかったわ〜」
「あぁでも55mmくらいになりそうな蛹はいるわ〜」なんて報告してた記憶があります。今考えるとヤラシイな。


まぁでも50mmくらいになると、
あぁうん、ルマウィノコギリだねぇっていう形にはなりますね。
200ccプリカで産卵一番で遊んだ組とかはチャマルがいっぱい羽化してました。

■2021年8月11日 蛹掘り掘り

次回へ向けてのデータ集めに露天にして蛹測ったり、
ボトル内のオガの潰れ方みてたんですけど、
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やっぱまぁまぁなサイズになりそうなのもいるじゃん!とか、

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オオクワみたいで面白いなぁ〜なんて思って
次々と掘り出してたら、

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!?

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出ちゃった。大歯。

大歯っていうか長歯形ですかね。
まず出ないと聞いていたのでビックリでした。
顎の中腹に小歯が出ちゃうエセ長歯もいるのでまだこの時点では安心できませんでしたが、
輪郭的に小内歯は先端近くにありそうなんでこれはキタんじゃないのと。

2012年のビークワギネスに初めて長歯形が応募された際の、
「飼育第一号なんじゃないの!?」的な審査寸評が印象に残っていたので
結構嬉しかったですね〜。
長歯蛹の画像がネットに出るのはおそらく初なんじゃないかな???


■2021年12月中旬 羽化個体紹介

まだ羽化していない個体もいますが紹介。
時系列順。

まずは1500cc個体群から。

♂①
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2020年10月29日 3齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  8月11日 蛹
2021年  8月28日 羽化62mm

祝親超え。60mmUPするとやっぱかっこいいですね。

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♂②


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2020年10月29日 3齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  8月11日 蛹
2021年  8月29日 羽化62mm

同じ中歯でも①より②の方が伸びてますね。
スクエアな感じが良きです。

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♂③
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2020年10月29日 3齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  8月末 羽化58mm

顎太め短め。

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④♂
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2020年10月29日 3齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  8月11日 蛹
2021年  9月17日 羽化65.7mm

先日の長歯蛹が無事に羽化。
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一応ノギ写。
2011年登録の第2代レコードが65.5mmなので、
10年遅れで超えてくれました。

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2020年10月29日 2齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  8月11日 蛹
2021年10月16日 羽化61mm

内歯がやや前を向く個体。

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2020年10月29日 2齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年10月16日 羽化62mm

顎太め。やっぱ中歯は中歯の良さがあるよね。
う〜ん、コメントすることなくなってきた。

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⑦♂
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⑦ 
2020年10月29日 2齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  8月28日 蛹
2021年10月21日 羽化62mm

かなり顎太め。
そして、おっ!これは…
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スーパー大歯(笑)

…本当に歯形変異が豊富な種類ですはい。

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⑧♂
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2020年10月29日 2齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年  9月20日 蛹
2021年10月30日 羽化67.5mm

うっひょ〜〜〜〜。

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2012年登録の第3代レコード66.7mmを超える67.5mm。
第3代レコードはそこから8年間レコード防衛して、
2020年に現在のクソデカレコード70.7mmが登録されていますので、
ルマウィに手を出すのがもう2年早ければ1年天下は取れたんですね〜↓

もう少し早く手を出しておけばなぁ〜なんて後悔してしまいますが、
前回述べた余力の考え方だったりが色々と整理して掴めてきたのが
ここ2~3年くらいの話なので、
おそらく飼育開始が3年早かろうがこのサイズは出せていないでしょう。

先述の通り現レコードまで3mm足りませんが、
正直このサイズが出ると思ってなかったので大大大満足です。
顎の伸びで言うと④の65.7mmの方がよく伸びてるんですよね。
まだまだ伸びしろはあるんじゃないかということで、次世代に期待ですね。

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⑨♂
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2020年10月29日 2齢初期♂ 1500cc水分多め
2021年11月  7日 羽化56mm

「幼虫期間が長いからってデカイとは限らないのよ」な個体。
ただ56mmの割にはカタチがしっかりしてるのは
幼虫期間の長さ故の高還元もあるかもしれませんね。

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①⓪♂
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2020年10月29日 2齢♀ 830cc水分多め
2021年10月下旬〜11月上旬 羽化62.5mm【0863−0864】

驚異の830cc1本孵し。(メスだと思ってた)
この個体は顎見ると長歯形になりそうな兆しが若干あるんですよね。
太さもあるし良い個体です。
てかこのカタチが一番好きかも。
830cc無交換でこれ出るんなら量産してもいいよね。

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①①♂
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2020年10月29日 2齢♀ 830cc水分多め
2021年11月中旬 羽化60.5mm

この個体も顎伸びてる。
内歯の長さも長いです。

ん〜〜、そろそろ飽きてきたぞ〜と言うことでこの辺で
ダラダラ個体紹介は終わり。

ちなみにメスは測っていないのですが、
ブログ執筆用に1500ccでメス出ちゃった個体を1♀測ったところ34.5mmでした。
幼虫でペア売りとかすることもないし雌雄判別どうでもいいっちゃいいんですけど、
本種の雌雄判別ってめっちゃ裏切らないですか????

■飼育まとめとか感想とか

一言でルマウィ、めっちゃ面白いに尽きます。

①歯形変異面白い

複雑な歯形変異がいいですよねまず。

マルバネマニアの間では小中大で終わらずに
イボ大歯とか激中歯とか色々あるじゃないですか。

ルマウィも細か〜く分類していったらめっちゃありそうですよね。
特に中歯形。バリエーション多すぎ。
書籍やら海外標本サイトやら見てみましたが、
野外だと55mmくらいで長歯形になる個体がいるみたいです。
こういう時は現行大図鑑より旧大図鑑の方が個体数載ってて良いんですよねぇ。

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自分でいま画像UPしてて泣きたいくらい絵心無いですが(笑)、
最大内歯がでっかい中歯のうちは段々と下に降りていくんですけど、
最大内歯がチョコンとなると長歯になっていくにつれて今度は先端に移動していくんですよね。
究極は先端の二股を残して内歯が消えるみたいです。
前レコードは左右とも消えかかっていて、旧大図鑑にも左側だけ消失している個体がいます。

グラデーション箱作りたいなぁってなりますよねこれは。

②飼育難しい

程よく難しいという感じですかね。
産卵やサイクル回すこと自体は決して難しくないけど、
デカイの出すのは難しい的な。最近ホントこういうの好き。

「飼育で長歯形を出した人はいない」
なんて10年前まで言われていた本種。
よくいう「飼育技術の進歩」なんてのは一部の人の積み重ねであって、
万人が出せるようになっているわけではないんですよね。

しかもその人がやめたらリセットされるっていう。
今でも10人いないんじゃないかな?
って考えるとロマンありますよねぇ。
もしかするともっと少ないかもしれません。

現行と先代登録のレコード個体はどちらもカワラ菌糸での飼育、
今回私はマット飼育ですが、実質材飼育みたいなもんだけど
色々と試行錯誤していく鉱脈がまだまだ残された種類だと思います。

③今後の話

ブログ記事書く時って手持ちの蔵書一通り確認するんですが、
2012年のレコード登録個体寸評を見てたら
「野外最大で78mmがいるらしい」なんて書いてあるんですけど!まじ?

正直何mmまで伸びるのかは全く想像つかないです。
私の最近の飼育方法の性質上、
サイクルを重ねていくごとに伸びていく傾向はありますが
来年また伸びるかっていったらわからないですし、
デカイの出すのが難しいか簡単かも今の時点じゃ正直判断つかないんですよね。
ただ今回「ハマらなかった個体」で1500ccで50mm切ってる個体も出ているので
そこが一般的に難しい難しいと言われている谷の部分なのかなぁと思ってます。
少なくとも「舐めた飼育」ではどんなに数を撃ったところで
まあまあなサイズすらまず出ないので絶対に大きくならないなと。

長歯と中歯で同じ蛹体重でも4〜5mm変わってきますので、
レコードを出すには長歯で羽化させることは最低条件です。

歴代のレコード応募コメントがそうであるように、
今回の飼育で実際にそこまでの低温は必要ないことは確認できたので、
今後はマイナーチェンジしながら探っていきたいなぁと。
オープナー方式組とド初齢投入にするか迷うところですが本種も最大体重的には1本孵しで充分だと思います。

実績のあるカワラ飼育も気になるところですが、
引き続きマット飼育で狙っていきたいなぁと思います。

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最後に長歯形記念に色々パシャリ。

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横。
すんごい扁平。

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裏。プレスされたのかなって位の扁平具合。

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べりっと剥がせば蟹味噌出てきそうな口元。

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正直ツヤクワのこの部分キモくて好きじゃないんですけど、ノコギリだけど
ちょっと愛着出てきたかも。

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改めて本当に不思議なクワガタです。

飼育屋の皆さん、一押しでっせ。 

そして飼育屋の皆さん、私んとこ絶賛オス余りなんです。 
そして飼育屋の皆さん、私んとこ絶賛オス余りなんです。  
そして飼育屋の皆さん、私んとこ絶賛オス余りなんです。  

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